研究概要 |
本研究ではメタボリックシンドロームの発症において、MCP-1の発現誘導とマクロファージの浸潤は本当に脂肪組織のみにおいて重要であるのかどうかを明らかにする事を目的として、脂肪委縮性A-ZIP-Tg糖尿病マウスを用いて端的に示す事を試みた。脂肪委縮性A-ZIP-Tg糖尿病マウスにおいて血中のMCP-1レベルが増加しているかどうかを検討し、増加を認め、組織にけるMCP-1の発現レベルの増加について検討を行い、M1マクロファージなのか、M2マクロファージなのかを検討した。脂肪委縮性A-ZIP-Tg糖尿病マウスにおいて肥満症マウスのように血中のMCP-1レベルが増加しているかどうかをELISAのシステムを用いて検討し、組織におけるMCP-1の発現レベルが増加しているのか、ノーザンブロットとreal-time TaqMan PCR法により検討した。組織中でマクロファージの浸潤が増加していないかどうかを病理組織学的な形態による観察、F4/80やMac1, Mac3と言ったマクロファージマーカーを用いたノーザンブロット、real-time TaqMan PCR法、免疫染色法、FACS法にて検討した。マクロファージの浸潤が増加している組織において、インスリン抵抗性惹起因子を多く発現するclassicalに活性化された所謂悪玉のM1マクロファージなのか、組織修復等を司るalternativeに活性化された所謂善玉のM2マクロファージなのかをIL-6やiNOS, arginaseやIL-10といったそれぞれのマクロファージのマーカーを用いて、ノーザンブロット、real-time TaqMan PCR法、免疫染色法、FACS法にて検討を行った。また、これらに加えて脂肪委縮性A-ZIP-Tg糖尿病マウスとMCP-1欠損マウスとを掛け合わせ、MCP-1欠損脂肪委縮性A-ZIP-Tgマウスを作製し、糖・脂質・エネルギー代謝、インスリンの細胞内シグナル伝達、マクロファージの浸潤や炎症など脂肪委縮性糖尿病の病態におけるMCP-1の意義を、M1/M2マクロファージの制御も含めて検討した。
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