SIRT1の各臓器における炎症反応への役割 マウスマクロファージRAW264.7細胞にSIRT1に対するsiRNAを導入することによりSIRT1蛋白発現を約20%に抑制できた。SIRT1の発現抑制は、LPSやパルミチン酸による炎症シグナル経路の活性(JNK経路およびIKK経路)を亢進させ、TNF、IL6、MCP1などの炎症関連遺伝子発現も増加させた。それにしたがい、TNF、IL6などのサイトカイン分泌も増加させた。逆に、SIRT1活性化剤であるレスベラトロールやSRT1720をマクロファージに附置しマクロファージのSIRT1を活性化させると、LPSやパルミチン酸による炎症シグナル経路の活性(JNK経路およびIKK経路)を抑制し、TNF、IL6、MCP1などの炎症関連遺伝子発現を減少させた。これらのSIRT1活性化剤の効果はSIRT1発現抑制細胞ではみられなかったことからSIRT1を介しているものと考えられた。アデノウイルスを用いSIRT1を過剰発現させたが、上記の炎症反応へは影響をおよぼさなかったことより、SIRT1のマクロファージでの抗炎症作用にはSIRT1の活性が必要であると考えられた。 SIRT1の臓器間ネットワークへの関与の検索 マクロファージの培養液上清やマクロファージとの共培養により、3T3-L1脂肪細胞や、L6筋肉細胞のインスリンによる糖取り込み能は減弱するが、マクロファージのSIRT1を活性化させておくと、培養液上清の附置や共培養によるインスリンに対する反応性の低下を部分的ではあるが防御することが可能であった。
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