SIRT1のin vitroでの分子機構の動物モデルでの確認 昨年度、培養マクロファージRAW264.7細胞のSIRT1の発現抑制は、炎症反応を亢進させ、逆にSRT1720によるSIRT1活性化は炎症反応を抑制することを見いだした。またこの炎症反応制御は、マクロファージの培養液上清やマクロファージとの共培養により、脂肪細胞や、筋肉細胞のインスリン感受性に影響を与えることを見いだした。これらの結果をふまえ、今年度は、肥満インスリン抵抗性モデルラットへの投与の影響を検討した結果、SIRT1活性化剤の3週間の投与は、体重には影響をおよぼさなかったが、OGTTでの耐糖能の改善を認めた。クランプスタディーより、全身および脂肪組織でのインスリン感受性が改善していたことがわかった。脂肪組織では炎症のマーカーであるTNFαやIL6の発現が減少し、悪玉マクロファージのマーカーであるCDllcも減少していたことから、SIRT1活性化薬の投与は、脂肪組織での炎症反応を抑制することにより、脂肪組織でのインスリン感受性を改善させ、全身のインスリン感受性、耐糖能異常を改善させていることがわかった。 現在更なる検討のため、マクロファージ特異的SIRT1ノックアウトマウスを作成中である。 SIRT1活性化を介した新規インスリン抵抗性治療の探索 上記SIRT1活性化薬(SRT1720)以外に、我々が同定したSIRT1活性化薬、9種類に関して、培養マクロファージRAW264.7細胞、培養3T3-L1脂肪細胞での抗炎症反応に関して検討し、おおむねSRT1720と同様の結果を得ている。
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