研究概要 |
(1)新たなインスリン抗体検出法の開発 これまで、より高感度で高特異度のヒトインスリン抗体アッセイ系をRIA法を用いて確立した(Diabetes Metab Res Rev 25, 665-670, 2009)。さらに、マウスにおいても、ELISA法を用いたインスリン抗体アッセイ系を確立してきた(Diabetes Technology and Therapeutics 11, 227-233, 2009)。これらの手法を改良し、ヒト1型糖尿病患者でのELISA法を用いたインスリン抗体アッセイ系を確立するために、様々な条件にて検討した。これと同時に、抗GAD抗体、抗IA-2抗体についても、新たなアッセイ系確立のために様々な条件で検討を行なった。また、これらの実験に使用する1型糖尿病患者血清を追加収集し、患者情報とともにデータベース化した。 (2)B cell ELISpot法の確立 インスリン抗体産生トランスジェニックマウス、NODマウスやコントロールマウスを系統維持した。インスリン抗体産生トランスジェニックマウスの脾細胞から抽出したB細胞を対象としたELISpot法を様々な条件にて検討した。 (3)1型糖尿病の発症を予想するシステムの構築 これまでに疾患への関与が証明されている疾患感受性遺伝子(HLA、INS,CTLA4,PTPN22,SUMO4)の遺伝子タイピングの標準パネル作製した。また、上記(1)で収集した血清と共にデータベース化した。 (4)マウスにおいてMAFA遺伝子が、胸腺でのインスリンの転写に影響を及ぼし、1型糖尿病感受性に関連すること(Diabetes 59,2579-87,2010)、マウスの11番染色体および14番染色体上に耐糖能に関与する遺伝子が存在し、さらにそれらの間に遺伝子間相互作用を有することを証明した(Diabetologia 53,1362-71,2010)。
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