研究課題
●レプチンによる糖尿病発症・進展抑止効果の確認Akitaマウス(Akita)とレプチントランスジェニックマウス(LepTg)とを交配した。Akitaは離乳直後から高血糖を呈したがLep:Akitaは40wに至っても、野生型と同等の空腹時血糖値を示した。Lep:AkitaはAkitaの半分の摂餌量であったが、Akitaの摂餌量をLep:Akitaと同等に減らしても血糖値の低下はわずかであり、摂食抑制以外のレプチン作用が血糖抑制に関連していると考えられた。インスリン感受性はLep:Akitaにおいて他の3群よりも亢進していた。Akitaにおいては膵島α細胞の増生が認められたがLep]Akitaにおいては抑制され血中グルカゴン濃度・膵グルカゴン含有量も同様の傾向であった。以上のように、高レプチン血症では、インスリン感受性亢進やグルカゴン分泌抑制等のメカニズムにより、インスリン分泌低下に伴う糖尿病の発症が抑制され、耐糖能はほぼ正常に保たれることが明らかとなった。また、血中中性脂肪値は、Lep:Akitaにおいて低値であった。血中酸化ストレス(TBARS)もLep:Akitaにおいては正常に維持された。そこで、次に蛋白尿を経時的に定量したところLep:AkitaにおいてはAkitaの高アルブミン尿は抑制されていた。また、約50週齢までの観察においてAkitaは半数が昏睡により死亡したがLep:Akitaの死亡はなかった。以上の検討によりインスリン分泌低下型糖尿病において、糖代謝のみならず糖尿病合併症や寿命を延長させ、総合的に良好な治療効果をもたらすものと期待される結果を得られた。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Metabolism.
巻: 59 ページ: 1241-51
Nephrology Dialysis Transplantation.
巻: 25 ページ: 2120-4
American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism.
巻: 298 ページ: E930-40
http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~med2/jpn/research/diabetes.html