これまでの検討で、ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬にミネラルコルチコイド受容体(以下MRと略す)を含め様々ステロイドホルモン受容体に多様な拮抗作用を示すこと、またこのようなin vitroの所見が、in vivoでも確認されることが、当院の原発性アルドステロン症患者の臨床データ解析により判明している。 中でも、異なるジヒドロピリジン系Ca拮抗薬において、各ステロイドホルモン受容体への拮抗作用が多様性を示すことが興味深く、その点に関する詳細な解析を行った。本邦では、市場に出てはいないが、ニモジピンは最もシンプルな骨格を持つが、MRの他、GR(グルココルチコイド受容体)、PR(プロゲステロン受容体)などに対しても、それなりの拮抗作用を有する。医療現場でも比較的多く用いられ、近年妊娠高血圧症に使用可能な数少ないCa拮抗薬として認可されつつあるニフェジピンは、ニモジピンより作用は劣るものの、MR、GRにそれなりに拮抗作用を示すことが確認される」方、PRに対する作用は最小であった。また、シルニジピンは対照的にMR、GRに対する拮抗作用は中等度であるものの、PRに対し強力な拮抗作用を示した。妊婦に対する安全性という観点から、大変重要な知見が得られたと考えている。 詳細なメカニズムの検討や動物モデルを用いた検証は、本研究期間内に達成できておらず、今後の検討課題である。 現在、最終成果として、論文投稿準備中である。
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