前年度に引き続き患者解析を行い集積したすべての検体における変異解析を終了させた。MAMLD1スプライス部位に変異を認めた患者での疾患発症機序の解明を行うため以下の実験を行った。 【方法】DNAは手術時に切除された陰茎包皮から抽出した。患児の両親のDNAは抹消血より抽出した。Direct sequencing was performed for the coding exons 3-6 and their flanking splice sites.スプライシングパターンの解析には陰茎包皮から抽出したRNAを用い、エクソン3とエクソン5、エクソン5とエクソン6にそれぞれプライマーを設計してPCRを行った。また得られた産物については直接シークエンス法により塩基配列を確認した。 【結果】MAMLD1の直接シークエンス結果から、イントロン4のスプライス・ドナーサイト部位におけるagがggに置換されているIVS4-2A>Gを同定した。患児の父は変異を有さず、母はヘテロで変異を有していた。 エクソン3とエクソン5にプライマーを設計しPCRを行ったところ、wild typeではエクソン4がある産物とない産物のバリアントが同定された。これにたいして患児ではエクソン5のはじめの10塩基がスキップした産物のみが同定された。また、エクソン3とエクソン6にプライマーを設計しPCRを行ったところ、wild typeではエクソン4+5+6の産物、エクソン4がない産物、エクソン5がない産物の3種類のバリアントが同定された。これにたいして患児ではエクソン4がない産物は同定されなかった。 【考察】今回我々は尿道下裂を有する児において新規にIVS4-2A>Gを同定した。スプライシング異常がMAMLD1の機能を喪失させ、疾患の原因となったことが推察された。
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