皮下脂肪組織由来インスリン抵抗性改善因子の探索 (1) 皮下脂肪及び内臓脂肪組織抽出サンプルの調製 ラット皮下脂肪及び内臓脂肪組織を酢酸抽出し、イオン交換クロマトグラフィー及びゲル濾過クロマトグラフィーにて分画した脂肪組織抽出サンプルを調整した。 (2) Fusion-αを用いたリン酸化Aktの高感度アッセイ系の構築 インスリンの標的臓器である肝臓(HepG2細胞)及び脂肪(3T3-L1細胞)を標的として、インスリン刺激によるAktのリン酸化をFusion-αを用いて蛍光強度の変化として検出する検討を行ったところ、インスリンの容量依存的に蛍光強度の変化を検出することが可能であり、本アッセイ系の有用性を確認した。また、既知のインスリン抵抗性惹起因子であるTNF-αを前投与し、インスリン刺激によるAktのリン酸化の減弱を認めるかHepG2細胞を用いて検討したが、TNF-αによるインスリンのAktリン酸化の低下作用は認めなかった。 (3) 組織抽出サンプル添加によるAktリン酸化を指標としたアッセイ 上記にて調整した皮下脂肪及び内臓脂肪組織サンプルをHepG2細胞に添加してAktのリン酸化を測定したところ、分子量約3000-5000の画分に強いAktリン酸化活性を認めた。この活性は皮下脂肪よりも内臓脂肪組織抽出物でより強い活性を認めた。この活性画分を逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離したところ、皮下脂肪及び内臓脂肪組織抽出物は同じ溶出位置に活性を認めた。
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