研究課題
本年度は、MLL-ENLとEstrogen Receptorα鎖の融合蛋白MLL-ENL-ERによってIL-3及びタモキシフェン存在下にマウスの造血前駆細胞を不死化した細胞株MERの実験から得られた、興味深い変動を来す3種類のマイクロRNAの安定した遺伝子発現導入系の確立を目指した実験を行った。マイクロRNAと類似した短鎖RNAの遺伝子導入における、様々な知見を念頭に、電気的に遺伝子導入を行うことを予備的な検討をした。この手法は一定の導入効率は得られるものの、導入効率が高くならないことや長期的観察が難しいことなどから、この手法は適さないと判断した。一方、昨年から引き続き、レトロウイルスベクターを用いた手法に関しても検討を進めた。その結果、いくつかのMERと類似した性質を持つ細胞に関して、ある程度良好な遺伝子導入が可能であるという結果が得られたが、実験の再現性を保つ上で、導入細胞の選択をする際の工夫が非常に重要と考えられる知見や、別の実験結果からベクター自体の構造に関する構築の改変が望ましい可能性も考えられたため、いくつかの予備的検討を行った。実際に、いくつかの実験試薬等の工夫や、プロトコールの改善をすることにより、大幅に高い遺伝子導入効率が得られたり、導入に伴う表現型が出現することが判明し、このことを今後マイクロRNA発現ベクターの構築に行かしていく予定である。他方で、今後使用する予定の骨髄移植モデルについて、いくつかの細胞実験を連続して行い、早期に再現性の高い結果が得られるマウス白血病モデルが確立したため、上記ベクターの完成後、早急にマイクロRNAの発現導入による白血病病態に対する実験を行うことにしている。また、別のトランスジェニックマウスモデルにおいても、白血病モデル系が確立できたため、より普遍的な実験を行う意味で、同様な白血病病態に関する実験も行うことが可能となり、重要な知見が得られることが期待できる。
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Int J Oncol
巻: 40 ページ: 53-62
http://www.medic.mie-u.ac.jp/microbiol/