研究概要 |
目的1骨髄腫幹細胞分画の同定 骨髄腫クローンの維持に必須な骨髄腫幹細胞がCD19^+B細胞分画、CD19^-CD38^<++>骨髄腫細胞分画のいずれに存在するのかを明らかにすることを目的とした。骨髄腫患者骨髄CD19^+B細胞におけるIgLκ/λ鎖発現の解析より、骨髄腫形質細胞と同じイムノグロブリン配列を持つクローナルなCD19^+B細胞の明らかな増殖を認める症例が13例中4例存在した。しかしながら、NOD/SCIDXIL2Rcγ^<-/->マウスへの骨髄腫患者骨髄細胞の移植実験ではCD196^+B細胞の生着は見られなかった。一方、SCID-rabマウス(ウサギ骨を皮下に移植したSCIDマウス)への患者骨髄腫細胞の移植では良好な生着を得ることに成功し、生着が見られた骨髄を解析したところ、CD19^-CD38^<++>骨髄腫形質細胞のみが生着しており、CD19^+B細胞は見られなかった。In vitro colony assayにおけるclonogenic progenitorが、CD19^-CD38^<++>CD138^-細胞分画に濃縮されていることも考え合わせると、CD19^-CD38^<++>CD138^-細胞分画に骨髄腫クローンの維持能力を持つmyeloma-initiating cellが存在する可能性が示唆された。 目的2骨髄腫幹細胞特異的細胞表面抗原の同定およびそれを標的とした抗体療法の開発 我々が同定した骨髄腫抗原MMSC-1は骨髄腫患者骨髄細胞において、CD19^-CD38^<++>CD138^-骨髄腫前駆細胞にも、CD19^+clonal B細胞にも高発現しており、根治的治療を目指す抗体医薬の標的として理想的と考えられた。そこで、MMSC-1に対するモノクローナル抗体を作製し、それがin vitro, in vivoにおいて骨髄腫細胞に対して細胞傷害効果を持つこと、正常造血幹細胞には影響を与えないことを証明した。
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