研究課題
新たな造血幹細胞ニッチ構成要素として酸素分圧に着目して研究を展開した。古典的に骨髄の内骨膜領域は低酸素かつ低栄養環境であると想像されてきたが、精密な実験系に基づいた検証はこれまで行われてこなかった。研究代表者による解析で、未分化な造血幹・前駆細胞分画は低酸素状態で、低酸素応答の中心的制御因子HIF-1alphaが高発現していることを見いだした。HIF-1alpha蛋白は低酸素分圧下で安定化し、低酸素適応関連分子群の転写活性化を行う。通常の酸素分圧下ではHIF-1alphaのODDドメインのプロリン残基はプロリン水酸化酵素Phdによって水酸化プロリン残基になり、E3ユビキチンリガーゼVHLに認識されてユビキチン・プロテアソーム系で分解され安定化できない。これらPhd/VHL/HIF-1制御系は個体の低酸素応答の中心をなす。コンディショナルノックアウトマウスモデルの検討から、HIF-1alphaを欠損した造血幹細胞はGO期から離脱して、造血ストレス感受性が亢進し、老化して失われていることが見出された。対照的にVHLホモあるいはヘテロ欠損でHIF-1alphaを増加させると造血幹細胞は細胞周期を静止期化したため、HIF-1alpha量が造血幹細胞の細胞周期を精密に調節していると考えられる。この際、VHLホモ欠損では細胞周期の完全停止により幹細胞活性が失われるが、ヘテロ欠損では野生型よりも幹細胞活性が上昇し、ストレス耐性も上昇していた。すなわちHIF-1alpha量の精密な制御は正常造血幹細胞の維持に必須であることが明らかになった。
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