IL-21は、自己免疫疾患への関与が示唆されているIL-17産生CD4陽性T細胞(Th17細胞)や、T細胞依存的な抗体産生に重要な役割を果たしている濾胞ヘルパーT細胞(T_<FH>細胞)から産生され、その自己増殖因子として機能する。本研究者はこれまでIL-6またはIL-21によりIL-21を大量に産生する細胞(誘導性IL-21産生細胞)を誘導できることを明らかにしており、本申請研究では誘導性IL-21産生T細胞/T_<FH>細胞の分化制御機構の解明を目的とした。まず誘導性IL-21産生T細胞の遺伝子発現プロファイルを検討し、これまでTh2細胞特異的転写因子と考えられていたc-Mafが誘導性IL-21産生T細胞で亢進していることを見いだした。そこでc-MafによるIL-21の産生誘導機構を検討した。その結果、1)レトロウイルスでc-Mafを過剰発現させたCD4陽性T細胞を抗CD3抗体と抗CD28抗体で刺激すると、IL-21産生細胞の分化が強く誘導されること、2)c-MafはIL-4-STAT6経路非依存的にIL-21の産生を誘導すること、3)IL-21受容体欠損CD4陽性T細胞でもc-MafによるIL-21産生が認められることより、c-Mafが直接的にIL-21産生を誘導していると考えられること、4)レポーターアッセイにてc-MafがIL-21のプロモーター及びエンハンサーを活性化し、c-Maf予測結合部位への遺伝子変異導入でその活性化が抑制されること、5)誘導性IL-21産生T細胞においてクロマチン免疫沈降でc-MafがIL-21のプロモーターおよびエンハンサーに結合することを明らかにした。以上より、CD4陽性T細胞においてc-MafはIL-21のプロモーター及びエンハンサーを活性化させることにより、直接的にIL-21産生を誘導していることが明らかとなった。
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