研究概要 |
microRNA(miRNA)は遺伝子発現を主に翻訳レベルで抑制することにより様々な生理的・病的状態において重要な役割を担っている。本研究では関節リウマチの病態に関与するmiRNAを同定し、miRNAを標的とした治療応用の可能性を明らかにすることを目的に、下記検討を行った。 (1)関節リウマチの病態に関与するmiRNAのスクリーニング 関節リウマチの主病態である滑膜線維芽細胞の増殖・炎症を担うmiRNAを同定するため、関節リウマチ患者由来の滑膜線維芽細胞に対し、470種類の合成miRNA阻害剤を導入し、TNFαの刺激による細胞増殖やIL-6,MMP-3産生に変化を来すmiRNAを網羅的に検索した。しかし、解析を進める過程で、miRNA阻害剤libraryの阻害効率の低さと標的miRNAに対する特異性の低さが明らかとなり、目的とするmiRNAの同定が困難であった。そこで新たにLNA修飾を行うことにより特異性と安定性、阻害効果を高めたmicroRNA阻害剤Libraryを用いて、再度スクリーニングを行った。その結果、細胞増殖やIL-6・MMP-3産生を抑制・もしくは亢進させるmiRNA阻害剤が複数認められた。 (2)同定したmiRNAの再現性検討 上記スクリーニングにて同定したmiRNAの治療標的としての妥当性を明らかにするため、更に複数の患者由来の滑膜線維芽細胞でも検討を行い、再現性の得られたmiRNA阻害剤に注目し、その標的遺伝子、作用機序の解析を進めている。
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