研究概要 |
「滑膜細胞の脂肪分化誘導はRAの病態を改善する」というコンセプトの妥当性を検証した。 (1)サイトカインはMSCの脂肪分化を抑制 MSC(mesenchymal stem cell:間葉系幹細胞)の脂肪分化誘導の過程で、TNFα,IL-1β,IL-6,TGFβを添加したところ、FLS(fibroblast-like synovial cell:線維芽滑膜細胞と同様に脂肪分化が抑制された。 (2)脂肪分化はMSCのサイトカイン分泌パターンを変換する 脂肪分化誘導MSCと分化誘導を行なわなかったMSCの培養上清をAntibody Arrayでスクリーニングを行なった。脂肪分化なしMSCと比較して、脂肪分化誘導後MSCではIL-6産生が亢進し、IL-8産生は抑制された。 (3)脂肪分化はMSCの運動を抑制する。 分化誘導したMSCと分化誘導を行なわなかったMSCの運動能をInvasion Assayで確認した。脂肪分化なしMSCと比較して、脂肪分化ありMSCでは運動能低下が確認された。この現象は細胞内アクチンの構造変化による事が示唆された。 (4)iPS誘導因子モデルの検証 滑膜組織での発現検討:iPS誘導因子(Oct3/4,Sox2,Kfl4)の中で、Kfl4の発現を免疫染色にて確認した。培養滑膜細胞でもKfl4の発現がウェスタンブロットで確認された。一方、Oct3/4,Sox2の蛋白質レベルでの発現は確認できなかった。siRNAを用いて、培養滑膜細胞のKLF4のノックダウンを行い、蛋白レベルでの発現抑制を確認した。KLF4ノックダウン滑膜細胞の培養上清中のサイトカインプロファイルを検証した所、上記の脂肪分化抑制性のサイトカインの上昇を認めているため、KLF4のノックダウン滑膜細胞では脂肪分化抑制が起こる事が予想された。
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