研究概要 |
前年度までに同定したアトピー性皮膚炎疾患関連遺伝子CCL22に関して、より詳細な遺伝子多型情報の取得と機能的解析を行った。また、アトピー性皮膚炎患者群(以下、AD群)、健常対照群(以下、対照群)ともに検体数を増加し、関連解析を行った。これらの知見から、CCL22の遺伝子多型とアトピー性皮膚炎の病態との分子的機構の関わりを解明する事により、新たな診断法や予防法等の開発への貢献が期待できる。 1)Genotypingと関連解析 前年度より検体数を増加し、1次スクリーニングでAD群916人、対照群1021人、2次スクリーニングでAD群1029人、対照群1000人を用いて疾患関連解析を行った。1次と2次スクリーニングに関してメタアナリシスを行い、結果を統合したところ、エクソン上のSNPにおいて、極めて強い関連を認めた(pvalue=8.93×10^<-6>,OR=1.35(1.18-1.54))。 2)不死化B細胞株を用いた機能解析(ASTQ : Allele-Specific Transcript Quantification) 関連解析より得られたエクソン上のSNPに関して、CCL22の各alleleの発現量を測定するために、ASTQをTaqman法にて行った。その結果Risk alleleであるMajor alleleがMinor alleleより有意に高い発現量を示した。 これらのことから、CCL22の遺伝子多型がその発現量を正に調節することがアトピー性皮膚炎の病態形成に関与している可能性が示唆された。
|