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2010 年度 実績報告書

T細胞性白血病におけるLMO2過剰発現の機序と生物学的意義に対する検討

研究課題

研究課題/領域番号 21790975
研究機関山梨大学

研究代表者

廣瀬 衣子  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (70436880)

キーワードLMO2 / T細胞性急性白血病 / 転写因子
研究概要

LMO2は造血に必須の転写調節因子であり、小児T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の約半数の症例で過剰発現されている。しかし大半の症例では過剰発現の機序が不明であるばかりでなく、過剰発現がどのようにして白血病発症につながるのかという極めて重要な課題が未解決のままである。T-ALLの予後は依然として不良であり、本研究では我々のこれまでの研究成果をふまえてLMO2過剰発現の機序と生物学的意義を明らかにすることを目指している。
本年度はLMO2過剰発現の生物学的意義について、LMO2のsiRNAをT-ALL細胞株に導入するため、レンチウイルスベクターによる導入を行った。T-ALLでの検討の前段階としてB前駆細胞型ALLでLMO2を過剰発現している17;19転座型白血病細胞株のUOC-B1にLMO2のsiRNAを導入したところ、その発現は1000分の1程度に抑制され、flow cytometryでactive caspase3陽性の細胞が増加して細胞死が誘導されるとともに、マイクロ・アレイ解析でB細胞の初期分化に関連する遺伝子の誘導が観察された。このことから17;19転座型ALLでは、LMO2遺伝子の過剰発現が白血病細胞の生存と未分化状態の維持に関与している可能性が示唆された。これはB前駆細胞型ALLの発症にLMO2が関わることをはじめて明らかにするものであり、BLOOD誌上で発表した。
siRNAの導入については、自治医科大学分子病態治療センターの古川雄祐教授の研究室のサポートを受けてレンチウイルスベクターによる導入を行ってきていたが、当科では17;19転座型白血病細胞株以外で安定した導入効率が得られず、新たにInvitrogen社のNeon Transfection systemによるエレクトロポレーション法で導入を試みている。この方法では、17;19転座型白血病細胞株以外のB前駆細胞型ALL細胞株でもLMO2の発現を5割程度にまで安定して抑制することができるようになってきており、T-ALLでのsiRNA導入を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Aberrant induction of LMO2 by the E2A-HLF chimeric transcription factor and its implication in leukemogenesis of B-precursor ALL with t(17 ; 19)2010

    • 著者名/発表者名
      Kinuko Hirose
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 116 ページ: 962-970

    • 査読あり
  • [学会発表] B前駆細胞型ALLにおけるLMO2の過剰発現2010

    • 著者名/発表者名
      廣瀬衣子
    • 学会等名
      日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2010-09-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/pediatr/fpe/fpe101110h.html

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公開日: 2012-07-19  

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