我々はこれまでに、小児急性リンパ性白血病(ALL)の中でも極めて予後不良である17;19転座型ALLでは骨髄球系抗原のCD33が高頻度に発現されており、転座由来のE2A-HLF融合転写因子がCD33の発現を誘導することを報告してきた。本研究では、E2A-HLFによるCD33発現誘導の機序の解明に焦点を絞り解析を行い、E2A-HLFによるCD33遺伝子の発現誘導には転写開始点下流のPEA3結合部位が重要であることを確認した。またPEA3結合部位は、代表的な小児難治性ALLであるPhiladelphia染色体陽性ALLと11q23転座型ALLのCD33発現においても必須であった。これらの知見は、難治性ALLで認められるCD33の発現が、PEA3結合部位の活性化を介した共通の機序で誘導される可能性を示唆している。
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