21年4月からの研究期間ではIL-18/IL-18Rα/IL-18Rβ複合体蛋白の結晶化条件について精密化を行い結晶のサイズを上げ、結晶構造解析にまで進めることを目指した。結晶化条件検討により結晶のサイズを上げることができ、X線回折実験にて分解能4~5Aの回折像を得ることができた。3A程度まで分解能を上げることで構造解析が可能となり、次の低分子阻害剤の開発に進むことができる。 本年度は、結晶のサイズ、分解能の向上に向け(1)結晶化条件のスクリーニング、(2)脱糖鎖酵素による糖鎖除去、(3)アミノ酸変異導入による糖鎖除去蛋白の作成、(4)アミノ酸c末端6×hisタグの切除について検討を加えた。 (1) 蛋白結晶化条件についてランダムに振った条件、また以前結晶が得られた条件付近で条件を変えてスクリーニングを試み、約2倍の結晶のサイズを得ることができた。 (2)、(3) IL-18Rαは8カ所、IL-18Rβは4カ所の糖鎖修飾サイトを持つが、糖鎖は結晶化の妨げになりうるため修飾サイトに変異を加えて除去を試みた。またPNGaseFによる糖鎖処理も試みたが、いずれも蛋白の可溶性低下のためスクリーニングには使えなかった。 (4) 本実験に用いる蛋白は精製のためC末端に6×Hisのタグを導入してある。6×hisタグをCarboxypeptidaseAにより除去することを試み、切断を抗Hisタグ抗体で確認した。現在この蛋白を用いて結晶化スクリーニングを進めている。 スクリーニングで得られた結晶の一部を凍結し、大型放射光施設Photon FactoryにてX線回折実験を行った。最高で4~5Aの分解能で反射を得ることに成功した。得られた回折点に分裂や、重なりはみられておらず、結晶のサイズに比較してよい分解能が得られている。構造解析には3A程度の分解能が必要であるため今後さらなる条件検討を加える予定である。
|