研究概要 |
我々の研究室では過去にマウスES細胞,iPS細胞から胚様体法によって効率的に骨格筋細胞を誘導し、移植可能な骨格筋幹/前駆細胞をフローサイトメトリーにより単離することに成功した。この誘導法を用いて筋ジストロフィー患者由来iPS細胞からの骨格筋および骨格筋前駆細胞の分化誘導の基礎検討として、正常ヒトES細胞およびiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導を行った。培養開始49日~63日の段階で骨格筋分化の評価を行ったところ、ミオシン重鎖陽性細胞への分化誘導したことを免疫組織染色法とPCR法により骨格筋細胞特異遺伝子の発現によって確認された。ヒトES細胞、並びにiPS細胞の骨格筋分化誘導培養法によって49日分化誘導して生成された骨格筋前駆細胞をCardiotoxinの筋肉注射して筋障害をおこしたNOGマウスに細胞移植を行なったところ、ヒトES細胞も、ヒトiPS細胞も共に移植後12週、24週の時点で移植NOGマウスに生着しており、ヒト骨格筋タンパクの発現を免疫組織染色法によって確認された。従って、当方で開発した骨格筋前駆細胞分化誘導法によって生成された骨格筋前駆細胞は移植可能であり、かつヒトES細胞だけでなく、同等の効率でヒトiPS細胞からでも分化誘導することができる事が判った。今後、先天性筋ジストロフィーなどの疾患特異的iPS細胞を用いて、骨格筋前駆細胞を分化誘導し、その病態、並びに治療に向けた研究を押し進めていく予定である。
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