研究概要 |
臨床像、予後および遺伝的背景が非常にheterogenousな疾患である急性骨髄性白血病(AML)のうち、NUP98-HOX融合遺伝子を有するAMLにみられる遺伝子異常を明らかにして、これらが協調することで白血病化にどのように影響を及ぼすかを明らかにする。さらに、網羅的遺伝子発現解析により標的分子を同定して、より有効なAML治療法開発の一助とする。今年度も、まず、NUP98-HOX融合遺伝子を有する白血病の付加的遺伝子変異およびその臨床像を検討した。対象は、染色体11p15転座型を有する造血器腫瘍19例。RT-PCRを行い、NUP98遺伝子と融合する遺伝子を同定した。遺伝子変異の検討は、FLT3,KIT,WT1,RAS,CEBPA,AML1,MLL遺伝子に加えて、IDH1,IDH2およびMPL遺伝子について行った。12例はHOXA群遺伝子、2例はHOXD群遺伝子とDDX10遺伝子、その他、HOXC11遺伝子、NSD3遺伝子、不明がそれぞれ1例がNUP98遺伝子と融合遺伝子を形成していた。遺伝子変異において、FLT3-ITDが9例(47%)、KIT遺伝子変異が3例(16%)、WT1遺伝子変異が8例(42%)、RAS遺伝子変異が5例(26%)、IDH2遺伝子変異が1例(5%)で認められた。CEBPA,AML1,MLL,IDH1,MPL遺伝子変異は認めなかった.このうち、頻度の多い、FLT3およびWT1遺伝子変異がNUP98-HOXA9融合遺伝子とどのように協調して白血病化に関与しているか、変異体を作成して、機能解析を行っている。
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