当院の新生児集中治療室(NICU)入室中の児について、月齢・在胎週数・出生体重・基礎疾患などのプロフィールを収集した。大学病院では比較的重症の児が入室することが多いため対象の選別が重要と考えた。対象としては、新生児一過性過呼吸など中枢神経に異常がなく全身状態が比較的早く改善しやすい成熟児、低出生体重児、極低出生体重児、超低出生体重児を調査対象とすることにした。また、1年以上など長期入室児については、先天奇形症候群・染色体異常・中枢神経奇形など重篤な異常を持つものが多く、対象から外すことを決定した。また、児の母親についても、てんかんなどの基礎疾患をもつ場合は、脳機能に影響を及ぼしている可能性があるため対象から外すこととした。近赤外線分光法(NIRS)については、既存のプローブでも測定は可能であるが、より精度の高い測定を行なうための新しいプローブについて、島津製作所と積極的に意見交換を行ない使用できることを確認した。NIRSの最大の問題点である光路長について、それに依存しない新しい解析法は我々が既に見出しているが、幼少児でもそれが同様に有効あることを確立するために、幼少児でのデータを解析し、発表して活発に意見交換を行なった(現在、投稿中)。さらに、低出生体重児と並んで虐待のリスクが高い広汎性発達障害児(自閉症児を含む)について、当院子どものこころの診療部(児童精神科)と連携して、小児期の食行動の異常について詳細な検討を行い、幼児期に摂食障害を伴いやすいことを見出し、発表した。これは、広汎性発達障害児については、その脳活動が、低出生体重児の幼児期の脳活動の対照となる可能性があるため、基礎的なデータ収集を行う必要があるためである。
|