研究課題
MLL-AF4陽性急性リンパ性白血病の予後は現在も著しく不良であり、その白血病発症機序の解明は新たな治療法の開発に向けて極めて重要である。そこで、我々はレトロウイルス遺伝子発現系を用い、MLL-AF4融合遺伝子の白血病発症機序の解析を行った。Myeloid transformation assayの結果、MLL-human AF4(MLL-hAF4)はマウスLineage-(Lin-)骨髄細胞を不死化できなかったが、hAF4をmurine Af4(mAf4)に置換したところ、Lin-骨髄細胞の不死化が確認された。細胞表面マーカー解析では、B220, CD19陰性、Mac-1陽性であり、定量RT-PCRにてHoxA9, A10, Meis1の発現増強が見られ、クロマチン免疫沈降法により、HoxA9のプロモーターにおけるH3K79 dimethylationが明らかとなった。以上の結果から、MLL-mAf4はHoxA群遺伝子のプロモーターのヒストンH3リジン79(H3K79)dimethylationを介して、HoxA群遺伝子の発現を増強させることにより、Lin-骨髄細胞を不死化しているものと考えられた。また、hAF4/mAf4キメラ遺伝子解析の結果から、mAf4(aa.1026-1177)の領域がMLL-mAf4の不死化能には必須であり、定量RT-PCRによる解析の結果、この領域が、融合遺伝子のマウスLin-骨髄細胞中での安定した発現に重要である事が明らかとなった。以上の結果から、本実験モデルはヒトのMLL-AF4陽性白血病の白血病発症機序を良く再現しており、新規治療法の開発に向けた優れたモデルとなることが期待される。
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