研究概要 |
我々はレトロウイルス遺伝子発現系を用い、MLL-AF4融合遺伝子の白血病発症機序の解析を行った。Myeloid transformation assayの結果、MLL-human AF4(MLL-hAF4)はマウスLineage-(Lin-)骨髄細胞を不死化できなかったが、hAF4をmurine Af4(mAf4)に置換したところ、Lin-骨髄細胞の不死化が確認された。hAF4/mAf4キメラ遺伝子解析の結果から、mAf4(aa.1026-1177)の領域がMLL-mAf4の不死化能には必須であり、定量RT-PCRによる解析の結果、この領域が、融合遺伝子のマウスLin-骨髄細胞中での安定した発現に重要である事が明らかとなった。以上の結果から、本実験モデルはヒトのMLL-AF4陽性白血病の白血病発症機序を良く再現しており、新規治療法の開発に向けた優れたモデルとなることが期待される。以上の結果について論文発表を行った。 また、MLL-AF9,MLL-ENL,MLL-AF5q31をレトロウイルス遺伝子発現系を用いてマウス造血幹細胞に発現させ、細胞株を樹立し、これら細胞株について脱メチル化剤の反応性を検討した結果、MLL-AF9陽性細胞はMLL-ENLおよびMLL-AF5q31陽性細胞に比して、高率にアポトーシスを誘導できる事が明らかとなった。近年MLL融合蛋白の種類と予後の関係が検討されており、脱メチル化剤も治療薬の一つとして注目されている。我々の知見は、MLL融合蛋白陽性白血病の治療を考える上で、重要であると考えられた。以上の結果は、米国血液学会で発表し、現在論文化を進めている。
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