研究概要 |
Menkes病(Menkes kinky hair disease, trichopoliodystrophy)はX染色体劣性遺伝形式をとる先天性銅代謝異常症で、男児18万人に1人の頻度で発症する。本研究の目的はMenkes病の治療法を開発し、有効な治療法を確立することである。本年度はDEDTCのダイマーであり、すでに医薬品として認可されているdisulfiramを使用して臨床での応用を念頭に、macularマウスにdisulfiramと銅の併用療法を検討した。Menkes病患者に対する臨床応用を可能とするため、銅を皮下注射、disulfiramを経口投与した。投与計画は生後4~5日で銅を50μg皮下注射した後、週1回銅を10μg皮下注射するとともにdisulfiram 0.3mg/g body weightの経口投与を短期間群2ヶ月、長期間群6ヵ月投与を行った。コントロールにはmacularマウスにdisulfiramの代わりにDDWの経口投与を行った。各期間終了後にdisulfiramの効果を検討した。その結果、生後2ヶ月における体重はdisulfiram群において有意に体重の増加が認められた。各臓器の銅濃度測定を行った結果、短期間、長期間ともに大脳、小脳でdisulfiram群で有意に増加していた。Cytochrome o oxidase活性については短期間においてdisulfiram群で酵素活性が認められた。また、短期間、長期間投与における副作用は組織学的に認められなかった。 これらの結果からdisulfiramがMenkes病患者に有用な治療方法である可能性が示唆された。
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