研究概要 |
骨形成不全症等の骨疾患のために骨吸収阻害剤ビスフォスフォネートを投与された患者において、血中FGF23値が低下するとういう臨床的観察から(Kitaoka T et al. J Bone Miner Res, 2007 Vol.22 Suppl.1)骨細胞により産生され骨基質中に蓄積されたFGF23が、破骨細胞性骨吸収により血中に分泌されることが推察されるので、この仮説について実験的検証を試みた。リン恒常性調節に関わるFGF23の血中への分泌機構や血中濃度の制御については不明な点が多く、これらの点を明らかにすることは意義がある。Boyceらにより確立された骨吸収誘導系(Boyce et al. Endocrinol 1989 ; Morony et al. J Bone Miner Res 1999)を用いて実験を行った。C57BL6Jマウスを3群にわけ、IL-1β(3μg/dose in 50μl saline)、PTH(50μg/dose in 50μl saline)またはsalineを一日1回、頭部の皮下に三日間連続で投与し、最終投与から24時間後にマウスを屠殺、採血し、血清Ca値とFGF23値を測定した。その結果、IL-1β投与群では、骨吸収が起こっていることの確認とFGF23値の上昇を認めた。しかしPTH投与群では骨吸収の確認はできたが、コントロールと比較し、予想と反してFGF23値が低値となった。今後、骨吸収を誘導する因子として他のfactor(TNFα)も試みる。
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