十分なインフォームドコンセントを得た上で、帝王切開時に清潔操作に留意し、ヒト羊膜をサンプルとして採取した。この際には、子宮内感染など羊膜に変化をきたすような症例は除外して採取するように努めている。既往帝王切開症例を中心に採取している状況である。約20症例の羊膜を帝王切開後の症例より清潔な状態で入手する事が可能である。ヒト羊膜はトリプシン処理を行い、羊膜細胞を採取する。DMEM培養液にEGF、10%FBSを添加したものを培養液として使用し、24-48時間初代培養を行う。培養後、細胞を採取し、蛍光標識抗体を使用し、フローサイトメトリーにて、セルソーティングを行う。蛍光標識抗体としてHoechst33342を主体に使用し、SP(side population)細胞を幹細胞の候補として使用する。現在のところSP細胞の抽出を試みている、細胞分画は0.02%程度とごく少ない細胞数である。現在、RNAを抽出、cDNAに逆転写し、得られたcDNAをサンプルとして、リアルタイムPCRにて幹細胞マーカーの発現を確認する準備をしている。当初想定していたよりもSP分画に相当する細胞数が少ないため、RNA抽出によって得られるRNA量が少ない状況である。やはり複数回のサンプルを集めての結果では正確なマーカーの発現解析は困難と判断した。したがって今後は抽出した少量のRNAにおいて、Reverse Transcriptaseによる高感度の逆転写反応とDNA Polymeraseによる特異性の高いPCR増幅を組み合わせたキットを使用し、サンプルとしてのcDNAをできるだけ多く採取することとし、これを使用し、幹細胞マーカーの発現の確認作業を行っていく予定である。
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