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2010 年度 実績報告書

大脳皮質原基神経幹細胞の成熟、分化へのエタノールの影響と作用機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21791035
研究機関徳島大学

研究代表者

栃谷 史郎  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90418591)

キーワード脳発達障害 / 神経幹細胞 / 神経前駆細胞 / GABA_A受容体 / アルコール / 細胞分裂
研究概要

胎児期エタノール曝露は神経障害を引き起こす。原因としてエタノールが神経前駆細胞の増殖、分化に影響を与えその結果、中枢神経系の構築異常が生じることが考えられる。本研究の成果として平成21年度までにエタノールがGABA_A受容体を介して脳室帯にある神経前駆細胞に脳室壁に対し平行な細胞分裂を誘導することを報告した(Tochitani et al., 2010)。平成22年度においては、まずGABA_A受容体が実際に発生中の大脳皮質原基に発現するかを検討した。胎生10,12,14日目のマウス胚大脳皮質原基に対して、免疫組織化学染色を行った結果、GABA_A受容体alpha4サブユニットが解析したステージを通じ、脳室帯に発現することが分かった。神経前駆細胞のマーカーであるPax6およびnestinとの2重染色の結果、GABA_A受容体alpha4サブユニットは脳室帯にある神経前駆細胞の特にradial prcessに沿うように発現していることが明らかになった。GABA_A受容体の内在的なアゴニストとしてGABAとTaurineの2つのアミノ酸が知られている。これらのアミノ酸に対する抗体を用いた免疫組織化学的染色の結果、どちらのアミノ酸もE10という早い時期から大脳皮質原基に特定の層パターンをもって存在することが分かった。ついでGABA合成酵素であるGAD65およびGAD67の両方を認識する抗体を用いた免疫組織染色によりGABAを合成分泌する細胞を2種類同定した。1つはE12を過ぎてから大脳皮質原基を側方から包み込むように移動してきて最終的に軟膜を構成する細胞群であり、もう1つはE14前後に大脳皮質原基に移動してくるGABA神経細胞である。これらの結果はE10という発生の早い時期にGABA_A受容体とそのアゴニストがそれぞれ大脳皮質原基の神経前駆細胞とその周囲に存在しており、神経前駆細胞の性質制御において何らかの機能を持つことを示唆し、さらには平成21年度に報告したエタノールの大脳皮質神経前駆細胞の細胞分裂方向に対する影響が、このGABA_A受容体とその内在的アゴニストの相互作用を撹乱した結果であることを示唆する。

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公開日: 2012-07-19  

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