研究課題
低酸素性虚血性脳症は、周産期の呼吸循環不全などによる低酸素・虚血による脳障害であり、胎内感染症がその原因となることがある。また、低酸素性虚血性脳症の発症メカニズムとして、様々な炎症性サイトカインの重要性が示唆されている。リポ多糖は、大腸菌由来のエンドトキシンであり、母体への投与により、胎児に様々な炎症性サイトカインを誘導し、循環障害と脳障害を引き起こすことが知られている。本年度は、in vivoにおける炎症性サイトカインによる新生児の脳障害を調べるため、動物モデルを作成した。妊娠マウスにリポ多糖を腹腔内投与し、出生したマウスを還流固定した後に、脳をパラフォルムアルデヒドで固定した。その後、凍結切片を作成し、その切片を、グリア細胞のマーカーであるGFAP、ミクログリアの活性化に重要なタンパク質であるIba1、オリゴデンドロサイトのマーカーであるMBPに対する抗体などを用いて蛍光免疫染色を行い、共焦点顕微鏡で観察した。還流固定の有無、凍結切片の厚さなどを検討し、還流固定を行い、凍結切片の厚さは10μmの条件が最適であることが判明した。しかし、日齢2より若いマウスでは、安定した結果を得るためには、さらに詳細な条件検討が必要と考えられた。経時的な脳障害の程度を経時的に調べるため、日齢2から日齢21までのマウスを対象に上記実験を行った。これまでの研究から、炎症性サイトカインが新生児のオリゴデンドロサイトを障害することは報告されているが、その詳細なメカニズムや、ミクログリアなどオリゴデンドロサイト以外の細胞に対する影響は、いまだに不明な部分が多い。本研究の結果は、炎症性サイトカインによる脳障害のメカニズムを明らかにできる可能性がある。
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Frontiers in Psychology
巻: 2 ページ: Article 202, 1-10
10.3389/fpgsyg.2011.00202