消化管粘膜の未熟性によるbacterial trnslocation(以下BT)を定量的に評価し、早産児に対するprobioticsの有効性を検証することを目的に、昨年度から研究を継続している。敗血症時の血液検体を用いた検討の結果、Bacterial ribosomal RNA-targeted RT-Quantitative PCR(以下BrRNA-RT-qPCR)法は、血液培養よりも高感度に起因菌を検出することが可能(血液培養15.3%、本PCR法38.5%)であり、その有用性をBMC Pediatr.2010に発表した。また、BrRNA-RT-qPCR法に使用したproductをシークエンスした結果、血液培養陽性5症例におけるPCR productの塩基配列は、いずれも血液培養にて同定された菌種と相同性が一致しており、血中細菌の同定が高精度に可能な結果であった。そこで、感染徴候のない早産児8症例の経時的な血液検体を用い、BrRNART-qPCR法による血中細菌の検出を試みたところ、2症例において、Staphyrococcus spp.、Enterobacteriaceae spp.が検出・同定された。この2症例は、便培養からも同一菌種が優勢菌として検出されており、他に感染のfocusがないことから、BTの可能性が示唆される結果であった。今回entryされた8症例は、いずれもprobiotics投与症例であったことから、今後のBrRNA-RT-qPCR法を用いた本研究方法による症例の蓄積が、probiotics非投与群との比較検討により、BTの定量的評価およびprobioticsの有効性を検証することを可能にすると考えられた。
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