研究概要 |
研究初年度には,久留米大学新生児センターの従来型プロトコールにて治療された極低出生体重児を中心に,46名の病的新生児について,一日ごとの摂取カロリー,体重増加,退院時のMRIマーカーを取得することができた.本年度以降の積極的経静脈栄養施行プロトコールと異なり,昨年度は,経腸栄養の確立に7日以上の期間を要すると判断したときのみ,ゆっくりとアミノ酸・脂肪製剤の経静脈投与を開始した.消極的栄養プロトコールにもかかわらず,多くの児が板橋らの"予後良好児の体重増加曲線"に追随したが,胎便栓のために経腸栄養確立に2週間以上を要した児においては,出生体重に復帰するまでに約3週間を要した. 現在までにこれらの児に対して,高度MRIマーカー(apparent diffusion coefficient, fractional anisotropy)の計測を大脳灰白質・白質内各部位で終えている.また,これらの急性期マーカーによる評価の妥当性を検証するために,就学前幼児の発達検査における世界標準である,Bayley式乳幼児発達スケールによる評価体制を整えている.5名の評価者が,実際のキットを用いて評価訓練を重ね,MRI撮影児の全てを,1歳半・3歳でフォローアップ可能な状態になっている.本年度以降は,これらの観察事項を順次比較し,栄養・白質構造・発達の関係を更に明らかにしたい.
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