研究概要 |
本年度には,2007年6月から2010年8月までに久留米大学新生児センターで入院加療された極低出生体重児82名に関して,従来式MRI(T1およびT2強調画像)の主観的評価と,高度MRIマーカー(apparent diffusion coefficient(ADC),fractional anisotropy(FA))の脳内各部位での定量を終えている.現在,在胎週数・出生時体重・経腸栄養確立時期・成長曲線・退院時頭蓋容量(修正在胎週数比)などの栄養・成長パラメータとの比較を行っており,児の成熟度や栄養状態が脳内の拡散を表すADC値と負の相関を示し,白質のミエリン化を反映するFAとは正の相関を示すことが確認されている.また,これらの退院児の修正18か月・36か月時の標準発達検査である,Bayley式乳幼児発達スケール第3版を用いた評価体制が確立され,栄養・MRI・神経学的発達の比較が順次行われている.また,過去の従来式MRI評価と発達予後との関係に関しては,白質傷害と遠隔期の認知・言語・運動発達との間に強い相関が認められ,現在論文執筆中である.
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