研究概要 |
良性家族性新生児けいれん(Benign Familial Neonatal Convulsions,以下BFNCと略す)は生後2~3日のけいれん発作にて発症する疾患である。BFNCは脳内の電位依存性カリウムチャネルの遺伝子であるKCNQ2とKCNQ3の変異によって発症する、いわゆるチャネル病であることが遺伝子解析により発見されている。今年度は以下の実験を行った。1.前年度に作成したKCNQ2遺伝子S5領域に変異(S247W)を持つノックインマウスから、脳組織を採取し、酵素処理による神経細胞の単離・初代培養を行った。2.これらにパッチクランプ法を適用して、単離細胞レベルおよび神経ネットワークが保存された状態の単一細胞における膜電流やシナプス電位・電流の測定を行ったところ、正常組織から得られた結果と比べ変化が認められた。 また、前年度より引き続き、熱性けいれん患者から発見されたHCN2遺伝子変異より作成した変異体の機能解析を並行して行い、以下のような実験を行った。1.遺伝子変異蛋白を培養細胞に発現させ、パッチクランプ法による室温での電気生理学実験を行い、野生型と変異型の電気的性質を比較した。両者で活性化電位に変化が認められた。2.還流液の温度を上昇させて同様の実験を行い、野生型と変異型を比較した。少なくとも時定数と電流密度において両者に違いを確認することが出来た。以上の内容を第87,88回日本生理学会にて発表した。
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