研究概要 |
STAT6に対するRNA干渉を起こすsmall RNAとしてSTAT6 siRNA(short interfering RNA)の作製とin vitroにおけるSTAT6 siRNAの効果は確認済みである。 (1)アレルギー性炎症反応マウスモデルにおけるSTAT6 siRNAの効果 STAT6 siRNAがアレルギー性皮膚炎症反応にどう影響をあたえるのか、ということを確認するために、hapten-induced contact hypersensitivityのマウスモデル(BALB/cマウス、TNCB: Picryl chloride、DNFB: 1-Fluoro-2,4-dinitrobenzene)を用いた検討を行った。STAT6 siRNAは惹起反応の48時間前に耳介皮下に投与した(最終投与量:1nmol)。投与法はsiRNAをリポフェクション試薬とともに単純に投与するという方法をとった。 誘導されたマウスの接触過敏反応がSTAT6 siRNAの前投与によって有意に抑制される結果を得た。STAT6 siRNAを投与されたマウス耳介の病理組織サンプルにおいては、コントロールに比較して、好酸球や脱顆粒した肥満細胞の数が減少しており、STAT6 siRNAによってTh2タイプの免疫反応が抑制されたことが耳介腫脹の抑制につながったことを示唆する所見であった。同部位の皮膚中のサイトカインやケモカインを測定したところ、IL-4やIL-13、TARC、MDCといったTh2タイプのサイトカイン、ケモカインの産生がSTAT6 siRNAを投与されたサンプルにおいて低下していることが確認され、病理所見からの推測を裏付ける結果と考えられた。 以上、マウスの接触過敏症反応をSTAT6 siRNAの投与によって抑制することが可能であったこと、また、それがTh2型の免疫反応の抑制によるものであることを示唆する結果を得られた。
|