STAT6 siRNAを作製し、STAT6に対するRNA干渉が誘導されることをin vitroで確認した。さらにIL-4/TNFalphaの刺激により線維芽細胞から産生されるケモカインであるCCL11の産生をSTAT6 siRNAの投与により有意に抑制できることを確認した。 さらに、ハプテン誘導性のマウス接触過敏反応モデルの皮膚炎症反応をSTAT6 siRNAが有意に抑制することを確認した。炎症局所においてTh2型サイトカインあるいはケモカイン(IL-4、IL-13、CCL11、CCL17、CCL22など)の産生が有意に抑制されたことから、STAT6 siRNAの投与は、Th2型免疫反応を抑制することを通して炎症反応を抑制していることが示唆された。 なお、Th2型免疫反応の抑制が皮膚炎症反応に密接に関与することは、同じマウスモデルにおいて抗IL-4抗体あるいは抗IL-13抗体を投与することにより、皮膚炎症反応が有意に抑制されるという結果により確認している。 さらに、アレルギー性鼻炎のマウスモデルを使用して、粘膜面におけるアレルギー炎症においてもSTAT6 siRNAが抑制効果を発揮する可能性を検討した。 STAT6 siRNAは、鼻炎マウスモデルの粘膜組織に浸潤する炎症細胞を著明に抑制し、また、鼻周辺所属リンパ節由来の細胞からのIL-4やIL-13の産生は有意に抑制されていることが確認された。さらに、実際にマウスがくしゃみする回数や、鼻を引っ掻く動作も著明に減少し、鼻炎マウスモデルにおいてもSTAT6 siRNAが有効な治療効果を発揮することが確認された。
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