研究概要 |
1 : Fused S100タンパク質のN末領域の統合的機能解析 ProfilaggrinのN末領域を培養細胞に導入し、角化過程における細胞死の機序を解明する。ProfilaggrinのN末領域のコンストラクトから誘導されたタンパク質は核に分布し、これらの細胞でTunel染色陽性の所見が得られた。次にProfilaggrinのN末領域のA domainとB domainに分割しそれぞれに核移行シグナルを付加したのコンストラクトを作製し、これらのコンストラクトを正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)に導入した。各コンストラクトから誘導されたタンパク質は核に分布することが確認されが、A domainを発現した細胞でのみTunel染色陽性の所見が得られた。以上の結果より、profilaggrinのN末領域のA domain内に表皮角化細胞の細胞死に関与している領域が存在する可能性が示唆された。さらに核内でProfilaggrinのN末領域と結合するタンパク質の検索を開始した。 2 : 新規Fused S100タンパク質の機能の解析 新規新規Fused S100タンパク質であるTCHHL1の解析をおこなった。本タンパク質はN末領域に他のFused S100タンパク質と異なり反復配列構造をもたず、膜貫通domainと核局在シグナルを有していた。発現部位の検討したところ表皮基底細胞に強く発現していた。培養細胞(NHEK, HaCaT細胞)を用いてその発現部位を詳細に検討したところ両細胞において主に核周囲に局在し、核膜蛋白であるヌクレオポリンと共局在していた。 本タンパク質はこれまで報告されている他のFused S100タンパク質と全く異なる機能を有していると思われ、その機能解析を現在継続している。
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