MITFのRNA干渉とKIT阻害剤の併用による悪性黒色腫細胞への効果を検討するため、細胞株を用いてまずはin vitroでの検討を行った。BRAFの変異が認められない肢端黒色腫細胞株であるSM3とSMYM-PRGPに対して、KIT阻害剤であるsunitinibを用いて増殖抑制効果を検討したところ、コントロールに比べて有意に強い増殖抑制を認めた。同様にMITFに対するRNA干渉を同じ2種類の細胞株を用いて行ったところ、コントロールに比べて有意に強い増殖抑制を認めた。これらの結果を踏まえて、今後これら二つの併用をまずはin vitroで検討し、増殖抑制効果の増強を認めるならば、in vivoでの検討をする意義が非常にあると思われる。 次に、in vivoでのMITF RNA干渉による効果を検討した。In vitro実験でMITFを標的とするRNA干渉により、強い増殖抑制を認めた悪性黒色腫細胞株である624melをNOD/SCIDマウスの皮下に移植し、担癌マウスを作製した。その3日後に化学合成されたMITFに対するsiRNAを腫瘍内に直接局注した。陰性コントロールとしてPBSを用いた。腫瘍の計測を3日毎に行ったが、コントロールに比べて有意な結果は得られなかった。導入効率が低いことが理由として考えられ、MITF抗体を用いて腫瘍組織を免疫染色したところ、やはり有意なMITFのタンパク発現低下が認められず、今回の結果は導入効率の低さが原因と考えられた。次年度はこれら導入効率を改善し、検討を進める必要があると思われる。
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