研究概要 |
MITF,BRAF、KITを併用分子標的とする悪性黒色腫の治療を開発することを目的として、まずin vitroでMITFはRNA干渉を用いて、KITはKIT阻害剤であるsunitinibを用いて別々に阻害したところ、メラノーマ培養細胞の増殖抑制を優位に認めた。さらにBRAF変異を標的にした阻害剤として臨床治験が進められているPLX4032を併用して、3剤による腫瘍抑制効果を検討している。3剤を併用することにより腫瘍抑制効果の増強が期待されたが、個々の遺伝子の阻害剤を用いた時に比べて有意な増殖抑制効果は得られなかった。現在、阻害剤の濃度を再検討するとともに、阻害剤を用いても増殖している細胞を解析し、細胞内における遺伝子の発現量および変異の変化などを検討している。さらにin vivoでのメラノーマ細胞の増殖抑制効果も検討するためにNOD/SCIDマウスとメラノーマ培養細胞を用いて、HITFのRNA干渉とKIT阻害剤sunitinib、BRAF変異阻害剤PLX4032による増殖抑制効果を検討した。現在までの実験結果では、個々の遺伝子を阻害することによる増殖抑制効果は認められた。しかし、MITF,BRAF、KITに対する阻害剤の併用によって、個々の遺伝子を抑制した場合と比べて優位な増殖抑制効果を示すことはできなかった。やはり、阻害剤の濃度を再検討が必要であるとともに、増殖している細胞の解析を進めている。
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