マウスの脾臓のB細胞は、過去の報告のようにCD1dの発現が高いCD1d^<hi>CD5^+B細胞がIL-10を産生した。IL-10産生細胞に特異的に発現しているその他の表面分子を搜したところ、CD9とB7-DCがIL-10を産生しない細胞では登現していたいのに対して、IL-10を産生する細胞では発現する細胞と発現しない細胞がみられた。これらの分子の発現と抑制性機能の関係については現在検討甲である。しかし、IL-10産生細胞特異的な分子はまだ見つかっていない。腹腔内に存在するB1-B細胞は、PMA+ionomysinの刺激だけでも数時間の刺激でかなりの比率でIL-10を産生する。脾臓細胞ではLPSで先に48時間刺激するとIL-10産生細胞が増加するという報告があるが、腹腔内B1-B細胞はTLR刺激(CpG)で48時間先に刺激すると、むしろIL-10産生細胞は減少した。また、CD1dの発現とIL-10の産生にも相関がなく、マウスの脾臓CD1d^<hi>CD5^+B細胞と腹腔内B1-B細胞は、IL-10産生に関してはかなり違う性質を示すことが分かった。 ヒトの末梢血中のB細胞は、マウスと同様の刺激ではIL-10を産生しないが、BrefeldinA存在下にPMA+ionomysinで20から24時間刺激すると、細胞内染色でIL-10産生細胞を同定できた。自己免疫性水疱症患者、皮膚筋炎患者と健常人で末梢血中のIL-10産生B細胞の比率を比較したが、優意な差は認めなかった。治療に伴うIL-10産生B細胞の変化に関しては、現在検討中である。また、まだ2例(天疱瘡1例、血管炎1例)のみしか検討できていないが、大量γ-グロブリン投与による治療の前後では、この検出方法ではIL-10産生B細胞に優意な差は認めなかった。
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