マウス脾臓中のCD1d^<hi>CD5^+B細胞は、PMA+ionomycinでin vitroで4-5時間刺激すればかなりの比率でIL-10を産生することが分かっている。しかし、ヒト末梢血中のB細胞はマウスと同様の刺激方法ではほとんどIL-10を産生しない。そこで、ヒト末梢血中B細胞のin vitroでのIL-10産生を細胞内染色で検出できる条件を検討した。CpGで48時間刺激後にBrefeldin A存在下にPMA、ionomycinで5時間刺激する方法や、初めからBrefeldin A存在下にPMA、ionomycinおよびCpGで5時間刺激する方法でIL-10産生B細胞分画を同定できると最近の論文では報告されているが、今回の検討では、CpGを併用しなくてもPMA+ionomycinで20時間刺激(最後の4-5時間のみBrefeldin Aを使用)で十分にIL-10産生細胞が検出できることが判明した。また、IL-10産生B細胞はCD5陽性であるとする報告があるが、今回の健常人での検討ではCD5陰性の集団が主であった。 グロブリン大量療法がヒトIL-10産生B細胞に与える影響を検討した。成人川崎病では治療の前後でIL-10産生B細胞分画に変化はみられず、天疱瘡患者でもほとんどの症例では治療の前後で変化はみられなかった。しかし、グロブリン大量療法で長期寛解が得られた天疱瘡患者においてのみ、治療後にIL-10産生B細胞分画の増加を認めた。そのため、天疱瘡患者に対するグロブリン大量療法の作用に、IL-10産生B細胞が重要な役割を果たしていると考えられる。
|