研究課題
我々は表皮自己抗原を発現する、これまで報告のない新規のリンパ球系細胞分画を見つけ、その細胞の特徴と役割について解析を進めた.K5xGFPマウスのリンパ組織におけるGFP陽性細胞は、IgD陰性、IgM陽性、B220陽性、mPDCA-1陰性で未熟B細胞に似た新規リンパ球系細胞分画であることがわかり、この細胞と従来のB細胞との遺伝子発現の違いをマイクロアレイで比較したところ、未熟B細胞に近い遺伝子発現であることが確認できた。しかし、従来の未熟B細胞とは異なりCD93陰性であることから、上皮系細胞に特徴的なタンパクを発現するのみならず、これまで知られているB細胞の段階のいずれにも該当しない新規分画であることが明らかとなった。この新規のリンパ球系細胞に、in vitroでOVAタンパク質を加えてCD8あるいはCD4陽性T細胞と共培養して抗原提示能をところ、この細胞はPlasmacytoid Denderitic Cell (pDC)に匹敵する高いcross-presentationをすることがわった。K5xGFPとK5-mOVAのトリプルトランスジェニックマウスより単離した、リンパ節や脾臓の新規リンパ球系細胞は意外にも、OVA抗原を発現あるいは抗原提示していなかった。さらなる検討で、この細胞は骨髄でのBリンパ球系の分化段階であるcommon lymphoid precursorの段階で、一時的にケラチン5を発現することがわかった。
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