研究概要 |
糖尿病モデルマウスの背部に皮膚全層欠損創を作成し、シンバスタチン外用を行った。シンバスタチンはday0,4,7,10に外用した。シンバスタチン外用群では、対照群に比較して有意に創傷治癒が促進された。(% wound closure on day 7 in the control vs.simvastatin group : 52.45±16.81% vs.79.26±11.09%, P<0.001)また、創部の成熟度をみるhistologic scoreについても、シンバスタチン外用群で、対照群に比して有意にscoreの増加を認めた。(day 4 in the control vs.simvastatin group : 2.0±0.45 vs.5.2±0.49, P<0.0001 ; day 7:4.8±0.37 vs.11.6±0.25, P<0.0001, day 7:4.8±0.37 vs.11.6±0.25, P<0.0001)創傷部位の肉芽組織内における血管新生、リンパ管新生をそれぞれCD31染色、LYVE-1染色にて定量したところ、ともにシンバスタチン投与群で対照群に比して有意に血管新生、リンパ管新生ともに増加した。(血管新生;3.25±1.33% vs.9.29±1.29%, control vs.simvastatin, P<0.001,リンパ管新生;0.395±0.260% vs.1.72±0.460%, control vs.simvastatin, P<0.001)次に、リンパ管内皮細胞にシンバスタチン刺激を加えて、脈管形成能を検討したところ、シンバスタチン刺激によりリンパ管内皮細胞の脈管形成が有意に促進された。以上より、シンバスタチン投与により実験的糖尿病性潰瘍の治癒が促進したが、その機序として、血管・リンパ管新生促進作用が挙げられると考えた。
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