研究課題
本研究においては、抗原特異的T細胞の誘導がなくても過剰なNOD2シグナルのみで類上皮細胞肉芽腫が形成されるのかどうか明らかにする目的で、若年発症サルコイドーシス/Blau症候群関連変異NOD2遺伝子を導入したTHP-1細胞を用い、in vitroにて類上皮細胞肉芽腫あるいはその構成細胞の形成を試みた。種々の細菌由来成分の中で、マクロファージ様細胞への分化を促すことが知られているPMAの刺激のみがTHP-1をプレートに付着させ、またサイトカイン産生能も最大であったため、PMAによる刺激について詳細な検討を行った。コントロール細胞ではPMA添加後一過性にプレートに付着するだけなのに対し、変異NOD2を導入したTHP-1細胞は長期間プレートに付着し増殖しなかった。種々の接着分子の細胞表面の発現を検討したところ、ICAM-1の発現レベルがプレートへの付着能とリンクしていることを見出したが、抗ICAM-1抗体ではプレートへの接着を阻止できなかった。またICAM-1とその切断酵素であるADAM17のmRNAの発現には変化がなく、表面への長期発現のメカニズムは不明である。また変異NOD2を導入したTHP-1細胞がPMA刺激によって特異的に産生するサイトカインとして、PDGF-Bを見出した。実際にNOD2変異を持つ若年発症サルコイドーシス患者の皮膚組織において、NOD2を発現する巨細胞がICAM-1とPDGF-Bを発現することも確認された。ただこの系では三次元培養系を用いても巨細胞は出現せず、また患者末梢血単球から巨細胞を誘導できると報告されたM-CSF+IL-4を添加しても、細胞の形態に有意な変化を認めなかった。
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