研究課題
早期に浸潤・転移をきたし、化学・放射線療法の奏効率の低い悪性黒色腫において、免疫療法は他の治療との合併療法の開発において重要なツールとして認知されている。がん免疫療法は、第一世代のBRM療法から、第二世代のサイトカイン第三世代の非特異的免疫細胞療法を経て、第四世代の樹状細胞やがんワクチンによる「がん標的免疫療法」の開発の段階に入っている。我々は、悪性黒色腫において高発現しており、免疫療法の標的分子となりうるcancer-testis antigenであるPRAME遺伝子について分子機構の解析研究を進め、新たな治療法への礎としたい。平成23年度では、平成22年度に施行しきれなかったPRAME特異的モノークローナル抗体による解析を終え、免疫療法開発に向けての基礎実験の準備を引き続き行う予定であった。しかし未曾有の大震災の影響で保存していた検体などが失われたこと、試薬の調達などに障害が生じたために平成22年までの研究成果を論文投稿することに時間を費やした(下記雑誌論文に投稿し、アクセプトされている。現在は、研究環境のついては復旧が済んでいる。再度目標の検体数を収集しており、目標数に到達し次第、悪性黒色腫および健常人の末梢血から分離採取した単核球分画について、HLA-A*02拘束性のブラムペプチドにて刺激培養を行う手はずとなっている。その結果をふまえて刺激培養したリンパ球を悪性黒色腫培養細胞株と混合培養し、細胞障害性についても検討する予定である。
すべて 2011
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Int J Oncol
巻: 39 ページ: 665-672
10.3892/ijo.2011.1084