メラノサイト特異的PTENノックアウトマウスとbcl-2ノックアウトマウス、mitf変異マウスを交配することによって、加齢に伴う白髪化がどれだけPTENによって抑制されるかどうか、つまりPTENの詳細なメラノサイト幹細胞の制御機能を明らかにすることを目的とする。正常メラノサイト幹細胞が加齢に伴う幹細胞制御分子群の変化に伴う幹細胞維持メカニズムを明らかにすることは、メラノサイト幹細胞の枯渇としての白髪化、さらにはメラノサイト幹細胞の癌幹細胞化としての悪性黒色腫の発生の分岐点となる分子制御メカニズムを明らかにするものと期待される。 (1)ダブルノックアウト・変異マウスの作成 理化学研究所よりbcl-2ノックアウトマウス、岐阜大学国定隆弘教授よりmitf^<vit/vit>マウスの譲渡をうけ、申請者の前任でDctCre-Pten^<flox/flox>マウスとの交配をすすめた。DctCrePten^<flox/flox>・bcl-2^<-/->マウスは生後1ヶ月程度で衰弱死するものがほとんどで、なかなか加齢に伴う白髪化が観察しにくい状況である。DctCrePten^<flox/flox>マウスには多様な神経症状を伴い早期死亡することをわれわれは既に報告しており、bcl-2^<-/->マウスの形質と合併するとやはり早期死亡につながるのではないかと考えている。DctCre-Pten^<flox/flox>・mitf^<vit/vit>マウスは早期死亡は少ないため、現在経過観察中である。 (2)ダブルノックアウトマウスの形質の観察 DctCre-Pten^<flox/flox>・mitf^<vit/vit>マウスの毛色を経時的、肉眼的に観察している。本研究の目的は加齢に伴う白髪化におけるPTEN関連分子の変化をみるものであり、現在長期観察の途中である。
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