研究概要 |
今まで、角化機序に関連する複数の遺伝子が転写調節因子Sp1との関与が報告されており、正常角化機序において転写調節因子Sp1が重要な役割を果たす可能性が示唆されている。本研究は角化関連遺伝子と転写調節因子sp1の関与をsiRNAやSp1過剰発現下で、角化関連遺伝子との相関を調べ、関与が示唆された場合、Sp1を活性化することが知られているTGF-βやPGE2などを修飾することにより、角化関連遺伝子のmRNAやタンパク量の増加を促すことができるかを調べる。さらに増加が認められる遺伝子群については治療応用に向け遺伝子変異体を導入し、in vitroレベルでその可能性を模索することが目的である。 まず我々は、カルシウム負荷を与えることにより角化細胞を角化へ誘導し、角化関連遺伝子のmRNA量をReal-time PCRで調べた。その結果、ロリクリン・フィラグリン・ケラチン1・インボルクリンではカルシウム負荷後、mRNA量は増加を示し、12時間で最も増加した。また、トランスグルタミナーゼ3・PADI2でもカルシウム負荷後、mRNA増加量は増加し、24時間後まで持続していた。ATP2A2・ATP2C1・ケラチン5ではカルシウム負荷によるmRNAの増加はみられなかった。この結果からカルシウム負荷から12、24時間後が角化関連遺伝子のmRNA発現増加のピークと考え、今後の実験は12,24時間を指標に行っていくこととした。 現在、SiRNAを用いてSp1遺伝子をノックダウンし、角化関連遺伝子への影響をReal-time PCRを用いて調べている段階であるが、Sp1/Sp3の相互作用を考慮し、SP3遺伝子のノックダウンも行い比較実験をするため、準備中である。
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