悪性黒色腫(メラノーマ)は、見た目がほくろそっくりだが、悪性度が極めて高く早期発見が極めて重要である。我々が開発している、インターネット上の悪性黒色腫自動診断システム(http://dermoscopy.k.hosei.ac.jp)の精度を向上させ、実用化を具体的に推進するために、以下の2点に対し重点的に研究を行った。 (1) 臨床現場で用いられているダーモスコピー診断指標(ABCD ruleや7-point checklist等)のコンピュータによる自動定量化法の開発-診断結果のみではなく、各項目を自動数値化する (2) 入力ダーモスコピー像に見られる明度や色異常の自動検知+補正機能の開発-あるいは悪い条件の画像でも正確に診断が行える頑健な識別器の構築(1) に関しては、皮膚科医が臨床で用いる2つの主なダーモスコピー診断指標であるABCD ruleと7-point checklistで定義される計15の指標の定量を行った。230枚のダーモスコピー画像に対してlogistic regression modelを作成し、皮膚科医と同等レベルの識別精度を得た。この成果を論文誌(IEEE Trans.)へ投稿準備中である。 (2) に関しては、入力されたダーモスコピー画像のみから、適切な明度、色彩のダーモスコピー画像へと自動修正する手法を作成し、未学習の画像についても良好な画像補正が行えることを確認した。この成果は、論文誌に投稿済(Computerized Medical Imaging and Graphic誌)であり、また国際会議で発表予定である。(IEEE International conference on Image Processing 2010)
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