平成21年度に予定していた調査として、北海道大学病院で治療中の統合失調症患者約400例に対する調査を実施した。データベースを作成し、収集した情報を随時入力した。 未回収のアンケートがあるため、全例の解析は未実施であるが、中間報告として約200例分を解析して、部局内で発表した。主治医への調査による病名告知状況は、「統合失調症」と告知している症例が64.4%であり、「精神分裂病」2.1%、他の病名で告知8.1%、これまで病名に触れられていない症例10.5%、不明14.9%であった。統合失調症もしくは精神分裂病の病名が未告知の症例における理由としては、「長年告知されていなかったためあらためて告知する意義が乏しい」43.7%、「病状に悪影響を及ぼすおそれがある」38.0%、「病状が不安定であったため」23.9%、「家族の反対」12.7%、「患者の知的な問題」5.6%であった。患者への調査では、「統合失調症」と認知している症例が69.1%、「精神分裂病」4.7%、他の病名で認識12.1%、病名を知らない症例14.1%であった。また、病名告知状況と調査時の年齢や発症年齢、入院歴などに有意な関連を認めた。 また、協力医療機関における調査として、市立稚内病院(約100例)、市立室蘭総合病院(約100例)、倶知安厚生病院(約100例)、石金病院(約160例)での調査を開始した。協力医療機関でのアンケートは未回収であり、平成22年度に回収と解析を実施する予定である。
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