研究課題
統合失調症は生涯有病危険率が約1%と高く、思春期に発症し社会機能の低下を伴い慢性に経過する精神疾患であるが、いまだその病態は明らかでない。統合失調症は複数の遺伝的要因と環境的要因が相互に影響して発症する複雑疾患と考えられているが、遺伝的要因の関与が大きく、分子遺伝研究は統合失調症の病態解明における最も有力なアプローチとして期待されている。カルシニューリン結合タンパク質1(CABIN1)遺伝子は、統合失調症の責任領域とされている染色体22番長腕に存在し、統合失調症の病態への関与が示唆されているカルシニューリン関連遺伝子である。これらのことから、CABIN1遺伝子は統合失調症の有力な候補遺伝子と考えられる。先行研究により統合失調症患者において同定されたCANIN1遺伝子のまれなde novoコピー数多様性(CNV)が、統合失調症の発症脆弱性に寄与している可能性を検証するため関連解析を行った。対象は、DSM-IV基準により統合失調症と診断された患者626人と精神疾患の既往のない対照者620人である。CABIN1遺伝子のまれなCNVについて、TaqManプローブを用いたリアルタイムPCR法によりコピー数を判定した。なお、本研究計画は新潟大学医学部遺伝子倫理審査委員会の承認を得ている。判定可能であったサンプルのコピー数はすべて2であり、先行研究で報告されたCABIN1遺伝子のまれなCNVは検出されなかった。CABIN1遺伝子のまれなCNVが統合失調症の発症脆弱性に寄与することを支持する結果を得ることはできなかった。しかし、まれなCNVを検出するにはさらに大規模なサンプルを用いた解析を実施する必要がある。
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