研究課題
本年度は、一昨年までに施行した改良版、視覚刺激提示課題のデータ解析を、様々なアルゴリズムをもちいて実施した。昨年までに行った予備実験で、上側頭溝における脳の反応について解析をすすめたところ、目の動きを表す仮現運動視をもちいた刺激を提示する方法で、より上側頭溝における脳のレスポンスを描出できる点で優れていることを示した。まなざしの理解は、日常生活において動的なものであることを勘案すると、視線認知に関与すると言われる上側頭溝を中心とする部位における反応を評価するためには、このような動的な刺激提示課題への変更が、より理想的であると考えた。20人の成人ボランティアを対象とした予備的実験で得られた視線運動認知誘発磁場測定結果を、複数のアルゴリズムで解析した。具体的には、H23年度は皮質上のどの部位の神経活動の活動を上昇させているのかを、誘発磁場に対するPhase-locked Evoked ResponseをしらべるLCMV法と、gamma帯域の事象関連(脱)同期現象として、Time-locked gamma event related (de) synchronizationをしらべるDICS法の2種類の空間フィルター法を用いて解析を進めた。患者を対象とした実験については、予備的な実験にとどまっている。具体的には、一名の高機能自閉症患者に対して、視線の動きを表す仮現運動視と、単なる無意味な物体の動きを表す仮現運動視の刺激を用いて、脳内の反応を比較し、その2種類の刺激に対する脳の反応が、広汎性発達障害者の場合では違いが乏しいことを示唆する意義深い結果を得ている。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Neurosci Lett
巻: (in press)
DOI:10.1016/j.neulet.2012.03.031
Scientific Reports
DOI:10.1038/srep00384