研究概要 |
脳機能画像課題としてのfunctional MRIは被験者数を集めているところであり、途中経過については国際学会等で発表した。脳構造検査としての脳灰白質の体積比較するVoxel Based Morphometry (VBM)について、新しい知見を得、国際学会で発表したほか、国際学術論文に投稿し、受理された。以下、その詳細である。 男性広汎性発達障害者(Pervasive Developmental Disorders ; PDD)32名(23.8+/-4.2歳、full IQ 101.8+/-16.8)と、男性定型発達者40名(22.5+/-4.3歳、full IQ 110.1+/-7.4)に、3T-MR装置にてT1強調画像の水平断撮像を行い、VBM5.1にて脳灰白質体積の群間比較を行った。広汎性発達障害群が定型発達群より有意に増大している部位は認められなかった。一方、広汎性発達障害群が定型発達群より脳灰白質体積が有意に減少している部位は、右側島、右側下頭頂葉などであった(FDR-correction, P<0.05)。これらの領域は、各被験者のfull IQには相関なかったが、AQ(自閉症尺度、Autism-Spectrum Quotient)には負の相関を認めた(P=0.001)。青年期男性広汎性発達障害における島、下前頭葉の脳灰白質体積の減少は、ミラーニューロンシステムと辺縁系のネットワーク異常に関与し、広汎性発達障害における症状の共感性欠如に関連すると推察された。 今後は、広汎性発達障害者の脳機能を中心に解析し、脳構造検査結果との関連性を検討していく。
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